甲状腺専門外来

甲状腺は首の前(のどぼとけの直下で気管の前)に位置する臓器で、体のエネルギー産出に関わる甲状腺ホルモンを作っています。甲状腺の病気は大きく分けて「ホルモンの過不足が起こる病気」と「腫瘍」の2つで、甲状腺外来が担当する病気は以下の5つに分類できます。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

病気の特徴

甲状腺ホルモンの過剰により、強い疲労感、過食傾向、体重減少、動悸(頻脈)、多汗、頻回の軟便、手の震え、筋力低下(脱力感)、焦燥感、生理不順などの症状が起こり、特に体重の変化が重要な兆候です。
甲状腺は通常腫れますが、分かりにくい場合もあります。長期間放置すると、不整脈や心不全で動けなくなったり、筋力低下による脱力発作で運転中に事故を起こすケースもあります。その他、眼症状として、見開いた目(まばたき回数の減少)が特徴で、時に眼球突出や複視などが問題となることがあります。
女性に多い病気で、成人の数百人に1人の割合で起こります。2割程度ですが、男性にも起こります。10~30代に多いですが、60才以降に起こる場合も稀ではありません。


診断

特徴的な症状とその経過、および血液検査で甲状腺ホルモンの上昇と原因抗体の確認で簡単に診断できます。健診の際に頻脈で見つかり、循環器内科を経て紹介されるケースが多いです。

治療

3つの治療法「内服療法」「アイソトープ治療」「手術療法」があります。
内服療法は、3~6週で症状が良くなりますが、治療により増加する体重の制御や内服薬の最適な維持量の判定、薬の中止時期の判断が難しくなります。
このため治療法は患者様ごとに大きく異なり、一人ひとり細やかな対応をおこなっています。また、妊娠や出産への対処法についてもアドバイスしています。


慢性甲状腺炎(橋本病)

病気の特徴

甲状腺が左右対称に腫れますが、それ以外の症状はありません。
極めて頻度の多い病気ですが、甲状腺がはっきり腫れるのは、健常者100人に1人程度で、その大多数は女性です。


診断

触診で甲状腺の腫れを確認し、甲状腺ホルモンや自己抗体の検査で簡単に診断できます。

治療

大多数のケースでは、甲状腺のホルモンに異常がないため、一般に治療は不要です。ただ、一部の例では、長期的には甲状腺ホルモンが低下したり、妊娠分娩時に一時的にホルモン異常を生じることがありますので、それぞれへの対応法をお教えしています。


甲状腺機能低下症

病気の特徴

甲状腺ホルモン不足で、むくみ(特にまぶた)、皮膚の荒れ、髪のぱさつき、声変わり(しわがれ声)、寒がり、頑固な便秘などの症状がおこります。また神経機能の低下で、動作緩慢、無気力、傾眠傾向、認知障害などが起こります。長期放置すると体温が低下し昏睡状態となるので危険です。
頻度の少ない病気ですが、女性により多く起こります。

診断

甲状腺ホルモンの低下や自己抗体の存在を検査すれば診断できます。特徴的に、コレステロールの極端な上昇と、肝臓や筋肉の検査に著明な異常がおこるため、健診で発見されることが多いです。

治療

甲状腺ホルモンの補充を、生涯にわたって行います。最適な補充量が患者様によって異なるため、それを慎重に決めるのが重要な課題です。
当院では、投薬法の工夫で、通院は年3~4回ですむよう配慮しています。


甲状腺腫瘍

病気の特徴

左右どちらかに偏って首が腫れるのが一般的ですが、痛みはありません。大部分は良性のもの(甲状腺のう胞、甲状腺腺腫)ですが、悪性(甲状腺癌)のこともあります。悪性の場合も、他の臓器の癌と比べ進行がゆっくりで、それで命を落とすことはほぼないと言えます。
胸部CTで偶然見つかることの多い病気で、良性のものの頻度が高く、悪性は比較的少ないです。


診断

良性・悪性の区別で最も重要なのは、触診による形状や硬さの判定と超音波検査による内部構造の判定です。大多数の症例は一回の診察で診断できますので、お気軽にご相談ください。

治療

悪性の場合はいずれ外科治療が必要となりますので、専門医を紹介します。良性腫瘍の場合、超音波検査で大きさの変化を追います。甲状腺の自己触診法をお教えしますので、通常は大きさに変化がなければ再診不要です。頻度の多い甲状腺のう胞(液体がつまった袋)は、一般に病的意義はありませんが、大きい場合には内容液を抜き取ります。一回の排液処置で、ほとんどのケースは良くなります。


他の頸部腫瘍

甲状腺の周囲にはさまざまな腫れ(腫瘤)が生じます。細菌性感染によるリンパ節の腫れが最も多く、まれに正中のう胞、副甲状腺腫瘍、悪性リンパ腫などによることがあります。
触診と超音波検査で明瞭に診断できますので、ご相談ください。

医療法人神徳会 三田尻病院

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